Q1:中国語以外の言語で出願し、その後に中国語の翻訳を提出することはできますか?
A1:いいえ。中国語の翻訳文を後から提出することはできません。パリ条約に基づいた特許出願の際には、中国語に翻訳した出願書面を提出する必要があります。
Q2:中国では、国内書面の提出のみで、つまり翻訳文を提出することなくPCT出願を国内段階に移行することはできますか?
A2:中国の特許法によれば、国内書面の提出のみでPCT出願を国内段階に移行できるとの規定はありません。言い換えれば、国内移行期限までに国内段階移行のために必要な全ての要件を満たす必要があります。
中国における国内段階移行期限は、PCT第I章および第II章の規定により国際出願日から、または優先権を主張している場合には最先の優先日から30ヶ月です。この期限は、追加の手数料を支払うことにより2ヶ月延長して、32ヶ月とすることができます。
Q3:中国語の翻訳文を後から提出することはできますか?
A3:中国語の翻訳文の提出は、国内段階移行のために必須の要件です。従って中国語の翻訳文は、30ヶ月の期限(もしくは2ヶ月延長した32ヶ月の期限)までに提出する必要があります。
Q4:中国ではPCT規則49の3.2(指定官庁による優先権の回復)を認めていますか?
A4:いいえ。中国ではPCT規則49の3.2による優先権の回復は認められません。
Q5.1:審査請求期限はいつまでですか?
A5.1:審査請求期限は、出願日から、または優先権を主張している場合には最先の優先日から3年以内です。
Q5.2:審査請求期限の起算日はいつですか?
A5.2:パリ条約による国内出願の場合も、PCT国際出願の場合も、国内出願もしくは国際出願の出願日、または優先権を主張している場合には最先の優先日が起算日となり、この日から3年以内です。
Q5.3:審査請求期限を延長することはできますか?
A5.3:いいえ。審査請求期限を延長することはできません。
Q6: 審査請求期限を徒過した場合の救済措置はありますか?
A6:はい。以下の場合には権利回復の請求を行うことができます:
1)不可抗力により審査請求期限を徒過した場合には、徒過の事由が解消した日から2ヶ月以内、遅くとも徒過から2年以内に権利回復の請求を特許庁に対して行うことができます。
2)その他の正当な理由により審査請求期限を徒過した場合には、特許庁からの通知があった日から2ヶ月以内に特許庁に対して権利回復の請求を行うことができます。
また、この権利回復の請求と共に、権利喪失前に行うべきであった手続も一緒に行う必要があります。
Q7:明細書、特許請求の範囲または図面(以下「明細書等」)の補正を行うことができる期間および範囲を教えて下さい。
A7:明細書等の補正は、以下のとおりに行うことができます:
国内出願:
1)特許出願の場合、
審査請求と同時に、または
特許庁から、特許出願が審査段階に入った旨の通知があった日から3ヶ月以内に、明細書等を補正することができます。
2)実用新案登録出願または意匠登録出願の場合、出願日から2ヶ月以内に明細書等を補正することができます。
国際出願:
3)発明に関する国際出願の場合、
明細書等を補正することができます。
4)実用新案に関する国際出願の場合、国内段階移行後2ヶ月以内に明細書等を補正することができます。
補正を行う場合には、明細書等の当初の開示範囲を超えることはできません。当初の開示範囲とは、直接開示されている内容および明細書等の記載から直接的かつ一義的に導き出せる内容です。
Q8:中国で係属している出願の対応出願が他国で特許可能と判断された場合には、中国で特許審査ハイウェイ(PPH)を申請することはできますか?できるとしたら、PPHの申請はいつ行うことができますか?
A8:PPHを利用した審査は、出願が審査段階に入ったものの、まだ実体審査が開始されない場合には、SIPOに対して申請することができます。つまり、SIPOから、出願が審査段階に入った旨の通知が送達された後であって、審査部から最初の拒絶理由通知が送達される前であれば、PPHを利用した審査の申請を行うことができます。
一般的には、出願が審査段階に入った旨の通知が来てから3ヶ月以内であれば、最初の拒絶理由通知はまだ送達されないとお考え下さい。
Q9:審査請求後、最初の拒絶理由通知が送達されるまでの期間は通常、どのくらいですか?
A9:審査請求を行ってから最初の拒絶理由通知が送達されるまでの期間は、事案によって異なります。出願が審査段階に入った旨の通知が送達された後、おおむね4~12ヶ月で最初の拒絶理由通知が送達されるとお考え下さい。
Q10:早期審査を申請することはできますか?
A10: 2012年8月1日より導入された『発明特許出願優先審査管理方法』(第65号)の関係規定に基づき、優先審査を申請することができます。優先審査の対象となる出願は、(1)省エネルギー、環境保護、次世代情報技術、バイオ、ハイエンド装置の製造、新エネルギー、新材料、新エネルギー自動車などの技術分野に関する重要な特許出願、(2)低炭素技術、資源節約など「グリーン発展」に寄与する重要な特許出願、(3)同一の主題について、中国に第1国特許出願を行った後に他の国又は地域にも出願した中国での該第1国出願、(4)国家利益又は公衆利益に重大な意義を持ち、優先審査を必要とする特許出願となります。
優先審査請求が認められると、その日から30営業日内に第1回目の拒絶理由通知書が発行されます。この拒絶理由通知に対する出願人の応答期間は2ヶ月となります。
Q11:拒絶理由通知に対する応答期限を教えて下さい。また、この期限を延長することはできますか?
A11:最初の拒絶理由通知に対する応答期限は一般に4ヶ月ですが、その後の拒絶理由通知に対する応答期限は2ヶ月となります。この期限は通常、庁費用の支払いにより1回のみ延長することができ、その際に1ヶ月または2ヶ月の延長を請求することができます。
Q12:拒絶査定前に送達される拒絶理由通知の回数は何回ですか?
A12:審査段階での拒絶理由通知の回数については特に規定はなく、事案によって異なります。
Q13:拒絶理由通知に対する応答の際に、明細書等の補正の制限はありますか?あるとしたら、拒絶理由通知の回数によって補正の制限の内容が変わることがありますか?
A13:拒絶理由通知に対する応答において行う補正は、その拒絶理由通知において指摘された拒絶理由に関するものでなくてはなりません。また、当初明細書等の開示の範囲を超えることはできません(Q7参照)。なお、拒絶理由通知の回数によって補正の制限の内容が変わることはありません。
Q14:SIPOによる審査の段階で再審査を請求することはできますか?
A14:いいえ。SIPOによる審査段階で再審査を請求することはできません。ただし、拒絶の査定に対してはSIPOの復審委員会(Patent Reexamination Board)に対して復審を請求することができます。
Q15:復審請求の期限はいつまでですか?また、この期限を延長することはできますか?
A15:復審を請求することができるのは、拒絶査定の送達があった日から3ヶ月以内です。この期限を延長することはできません。ただし、権利回復の請求は可能です(Q6参照)。
Q16:復審による実体審理の前に、審査段階の審査官による再度の審査はありますか?
A16:はい。復審による実体審理の前に、拒絶査定を行った審査部による前置審査があります。この前置審査による審査官の見解に基づいて復審委員会は復審を行い、審査段階での拒絶査定を取り消す復審決定を行うか、または復審通知書を発行して審理を継続します(Q18参照)。
Q17:復審において、審査段階の審査部に対して補正書を提出することはできますか?また、その場合、前置審査で特許査定となることはありますか?
A17:はい。出願人は復審の審判請求を行う際に補正書を提出することができます。その際、この補正は拒絶査定において指摘された拒絶理由に関するものに限られると共に、当初の明細書等の開示の範囲を超えることはできません。
Q18:復審における審理において、通知書が発行されることはありますか?あるとしたら、どのような場合に理由通知が発行されるのでしょうか?
A18:はい。復審において、以下の場合には、通知書、たとえば「復審通知書」が発行されることがあります:
(1)拒絶査定を維持すべきであるとの見解である場合、
(2)明細書等を補正した場合には拒絶査定を取り消すことができるとの見解である場合、
(3)出願人が追加の証拠や説明を提出する必要がある場合、
(4)拒絶査定において考慮されていなかった新たな理由や証拠を採用する必要がある場合。
Q19:復審決定までの期間はどのくらいですか?
A19:復審の審判請求を行ってから決定が行われるまでの期間は事案によって異なります。審理着手の通知から決定までの期間は通常、4~12ヶ月です。
Q20:復審は、特許庁が行いますか、それとも民事裁判所が行いますか?
A20:復審は、特許庁、つまり中国国家知識産権局(SIPO)の特許復審委員会が行います。